Skip to main content

はじめに|なぜ広告は変化したのか?【広告の歴史】

広告とは「人に広く知らせること」。時代とともにメディアも生活様式も変化し、広告は「マスメディア広告」から「SNS広告」へと進化してきました。この記事では、広告の歴史とSNS広告の台頭について、図解とデータを使ってわかりやすくご紹介します。


第1章:広告の歴史を振り返る|“広く告げる”から始まった

広告(advertisement)は、文字通り「広く告げる」ことが語源です。私たちの生活と広告は、常に密接な関係にありました。

◉ 古代~印刷技術の登場まで

  • 口頭広告(古代):商人が市場で口頭で商品を伝える手法。
  • 印刷広告(15世紀〜):グーテンベルクによる印刷技術の発展により、新聞やポスター広告が広まりました。

◉ マスメディア広告の時代

  • ラジオ広告(20世紀初頭):耳から情報を届けるラジオが登場し、家庭の中に広告が入り込むように。
  • テレビ広告(1950年代〜):映像と音でブランドイメージを訴求。広告費も急増し、「CM」は一大メディアとなりました。

これらの広告は、「マス」に向けて一方的に情報を届ける手段として進化してきました。


第2章:インターネット広告の登場と拡大

1990年代、インターネットの普及と共に登場したのが「デジタル広告」です。

初期のバナー広告に始まり、検索エンジン広告(リスティング広告)やメール広告、アフィリエイトなど、多彩な手法が生まれました。

なぜインターネット広告が成長したのか?

  • ターゲティング精度の向上:年齢・性別・地域・検索履歴などを元に広告を出し分けできる
  • 効果測定ができる:クリック数やコンバージョン(CV)など、投資対効果(ROI)が明確
  • 少額から出稿可能:テレビ広告のような高額投資が不要

これにより、中小企業やベンチャー企業も広告に参入できる環境が整いました。


第3章:SNS広告が主役になった理由

2000年代後半〜2010年代にかけて、スマートフォンの爆発的普及とともに、SNSが私たちの生活に浸透します。

Facebook、Instagram、X、YouTube、TikTokなどのソーシャルメディア上での広告が台頭し、広告のあり方は大きく変わりました。


SNS広告の強みとは?

従来広告SNS広告
一方通行双方向(いいね、コメント、シェア)
露出重視関係性・共感重視
作り込み重視スピード・リアル感重視
マス配信個別最適化(パーソナライズ)

SNS広告は、ユーザーの興味関心や行動履歴に基づき「ちょうど今、必要としている人」に情報を届けることができます。

また、UGC(ユーザー生成コンテンツ)との親和性も高く、「広告っぽくない広告」が広まりやすい特徴があります。


第4章:広告費の推移データで見る“主役交代”

日本の広告業界において、2019年は転換点となりました。

  • 📺 2019年:インターネット広告費がテレビ広告を超える
  • 📰 2021年:インターネット広告費がマスメディア4媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)の合計を上回る



(出典:電通 日本の広告費

このように、広告の“王様”はテレビからインターネットへ、そしてSNSへとシフトしていきました。

SNS広告市場は今後も年率20%前後での成長が見込まれており、無視できない存在となっています。

出所:リンク・アイ


第5章:広告とSNSは“別物”ではなく“つながるもの”へ

SNSはもはや「広告の代替」ではありません。

SNSは、ユーザーとの接点をつくり、関係性を深め、ブランドの“ファン”を育てるための重要なチャネルです。

SNS広告は事業戦略の一部

  • ただ「リーチを稼ぐ」のではなく、「認知→関心→行動」へつなげる設計が必要
  • 投稿の内容、トーン、KPIの設定まで、戦略と一体化した設計が求められる

おわりに:広告の未来とSNSの役割

広告は、時代の変化とともにメディアもユーザーも、届け方も、指標もすべてが進化してきました。

いま、企業が成果を出すためには、広告を「単体」で考えるのではなく、SNS・広告・広報が一体となった設計が欠かせません。

森 寛弘

株式会社XROSSOVER(クロスオーバー) 代表取締役/CEO 企業ブランディングにおけるデジタルマーケティングを支援し、コミュニケーション戦略支援、コンサルティング、デジタルプロモーションを実施するデジタルマーケター。 主な著作 ・結果が出る[SNSマーケティング]てっぱん法則(扶桑社、2018年11月23日) ・デジタルでブランドは作れるか SNSを使ったデジタルブランディング(日経広告研究所報 310号 2020年4月1日)